大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(オ)1129 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士山本耕幹の上告理由第一について。

なる程、原判決の引用する第一審判決事実摘示には、被上告人がダイヤ等を上告

会社から受取つたことは認めると答弁した旨の記載があることは明瞭であるが、被

上告人が原審において仮に本件ダイヤ等の授受が売買の履行としてなされたものと

しても右売買は被上告人と訴外D個人との間になされたものである、本件ダイヤ等

を被上告人に交付したのはDばかりでなく、上告会社社長A自ら被上告人に交付し

たことが二度あつたとの旨述べていること記録上明らかであるから、右第一審にお

ける被上告人の主張は原審において補正せられたものと認められる。のみならず、

原判決は、上告人主張の売買成立の事実は認められないとした上所論の判示をして

いるのであるから、右判示には所論のような違法はない。所論は採用するに足りな

い。

第二、第三について。

原判決は本件契約が訴外Dと被上告人との間に成立したものであることを認定し

ているのであるから、右契約が上告会社の目的の範囲内のものであるかどうかとい

うこととは何等相関するところがない。従つて原判決が所論上告人の主張を判断し

ていないのは因より当然のことであつて所論は理由がない。又右契約に基く宝石等

の交付行為が上告会社に対する右Dの不法行為となるかどうかは、必ずしも上告会

社の目的自体とは直接相関するものではない。従つて上告会社の目的が所論のとお

りであるからといつて、これがため直ちにDから前記宝石等の交付を受けた被上告

人にDの上告会社に対する不法行為の加功者としての過失を推定すべき限りではな

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い。原判決がその認定する事実に基き、仮にDの宝石等交付行為が上告会社に対す

る背任又は横領行為を構成するとしても被上告人がこれを知らなかつたことに過失

が認められないと判示したのは相当であつて、原判決には所論の違法は認められな

い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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